感想のつづきー!
■ 花街の掟 『金が無いのは首が無いのと同じ』から実際に頭がなくなるという発想が面白かったです。それも陰惨な方向にでなく明るくコミカルな方向付けをされているのが、個人的には好感が持てる点でした。夫人のキャラクターが印象的だとコミカルさに拍車がかかったかもしれません。
これはご存知の上であえて無視されたのかもしれませんが、京都のお茶屋さんには有名ないちげんさんルールが今も根強くあります。どれだけお金を持っている
お客さんでも紹介がなければ上げてもらえないというルールですね。もしその客が何らかの粗相をした場合は、紹介者にも多少ならざる被害が及ぶことになりま
す。 本作の構成なら京都以外の近似の場所でも成り立たせることが可能だったかもしれないので、読者さんによってはその辺りを瑕疵、練り込み不足
と捉えられることもあるかもしれないと思ったのですが、そうでもなかったようです。リアルと面白さのどちらを取るかというのはいつも執筆にまつわる問題の
一つではあります。
■ 火星温泉遥かなり またこんなネーミングを……っ、と思って読んでいるうちに「ああ、これは確かに 偽名じゃないとダメだわ」と思うようになりました。うん。日頃のイメージって大事だものね! 相変わらず小ネタが面白くて、笑った笑った。メン・イン・ブラックが個人的にはツボでしたよ。どっちやねん!(戦う相手がという意味です) ちなみにカセイとモノの大きさは関係がないらしいですよ。30センチ超の巨砲でもカセイの事だってあるらしいですよ。もちろん銀河をさすらう宇宙船の話です。 いやあ、面白かった。
■ 変身(モシャスじゃない) いやあ、笑った笑った。久々にこのノリに触れられた気分です。 知っていることが前提のネタなのでどうかなと思ったのですが、結構幅広い層の支持を得られたようです。バラモスを知らない世代も結構いるのか……。それが結構ショックな自分がいる。 しかしながらこん棒を装備しているレベルで毒イモムシと遭遇したら、私なら逃げるね。回り込まれるだろうけど、逃げるね。あいつら、防御力高いしメラもギラも無効化するんだぜ……。
■ 「これで貴女もFカップ」 まさか姫から……このような作品をいただく日が来ようとは……っ。何だか今回はかなり冒険ですね。これだけでもコンテストを開いた甲斐があるというものです。 まずショートショート的な構成というのが珍しいですよね。それにしてはしっかりとできていることが票を集めた要因の一つでもあると思います。 本作を読んでぐれこさんのイニシャルがZになることに気付きました。何の因果だ。
■ 愛の遺産 読者としての立ち位置が難しい作品でした。コメディとして読む方がいいのか、シ リアスとして読む方がいいのか、スタイルとしてはコメディとして読んでそこに内包されている部分をすくい上げるのが正しい読み方なんだろうなあ、と思うのですがそこにも違和感があるようで。瀬川的表現でいうなら、悩ましい。 ラストの一文が印象的で。深読みしようと思えばいくらでもできるけど、そういう作品じゃないような気もするのです。 読者コメントからもその辺りが滲み出ているような気も。はっきりさせた方がいいのか、曖昧なままの方がいいのか。どちらの方がよいのかは私もわかりません。個人としてはこう読んでくれ、と首根っこひっつかまえられる位の方が好きだったりしますが。
続く。
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