振るまで


 振る珍と命名呼称するくらいであるのだから、やはりしっかりと振らねばならないのではないかと思う。
 ただ下着を脱ぎ棄て、露出させるだけではいけない。腰を捻り、できる限り最大限の肉体的ポテンシャルを用いて、そのものをスイングさせる。そうすることで、それは正真正銘の振る珍といえるのではないか。そう思ったのだ。
 口で言うのは簡単だが、実際にやってみるとなるとこれはなかなかに難しい。まず、足腰は十二分に鍛え上げておかねばならない。肉体の持つ潜在能力を最大限に引き出すことこそが振る珍の最低条件である。これを怠って、ただぶら下げているだけではそこらの露出狂と何ら変わりない。
 ブツをスイングさせるための技術向上も怠ってはいけない。肉体科学は日々進歩している。それらの情報を積極的に取り込み、よりよいスイングを実現するための研鑽を怠らない。そうであってこそ振る珍道を極めることができるというものだ。
 また、肉体を鍛え上げ、技術を習得し、さあ実践となった際にも様々な障害が待ち受けている。例えば、いざスイングさせようとしたそのときに、仲間由紀恵の足りない部分をアンジェリーナジョリーで補ったようなお姉さんの姿を見かけてしまったらどうだろう。ゾウは瞬く間に硬質なる背骨を持ったキリンへと変貌を遂げ、左右へ振ることさえもままなくなることだろう。当然華麗なスイングなどおぼつかないし、場合によっては官憲の手を煩わせる事態に発展しかねない。
 かように、振る珍とは奥の深いものなのだ。
 先人はいう。物事は、達成させる最後の瞬間こそが、最も困難であるのだと。
 振る珍とて同じこと。いざ振る最後の瞬間こそが、最も困難な瞬間であるのだ。
(イツデェモ=フルーチン著 / 『振るまで』)

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