青(ブルー)なキャベツ
あるうららかな春の日の午後。
キャベツが差別されたとわめきながらT氏に泣きついてきた。
ただのギャグか語呂合わせのように聞こえるが、本当なのだから仕方がない。
何でも、キャベツは先程、川でドラえもんがドザえもんになっているのを発見したらしい。
キャベツはドラえもんがかわいそうだと思い、引き上げてやろうとしたのだが、そうすると周りの人々が、キャベツは水に濡れるとビタミンCが流れ出るからやめておいた方がいい、と言ったらしいのだ。
それを聞いたキャベツは、人間だってキャベツを料理に使う前には必ず水洗いをするじゃないか、と反論したのだが、鼻で笑われてしまったのだという。
なおかつ、人間の中の一人は、「キャベツは自分のことを何も知っちゃいないな」とまで言ったそうだ。
それを聞いたキャベツは、急にたまらなくなって、葉脈から水を流してしまった。そしてそのまま、T氏のところへと走ってきたのだ。
キャベツは、悔しい、悔しいと叫びながら、T氏の胸で葉脈から水分を流し続けていた。
T氏は、差別と区別は違うのだよ、とキャベツを慰めてやることしかできなかった。
オチは、ない。