◆公衆電話
うちの近所に一ヶ所だけ、いまだにダイヤル式の公衆電話というか10円電話があるのですが、先日その前を通りかかったときに、小学生くらいの男の子に呼び止められました。
いったい何かと思って立ち止まったら、電話を指さしてその子が言うのです。
「これ、どうやって使うんですか?」
……何というか、後頭部を金属バットで殴られたような衝撃を受けました。
今の子どもはダイヤル電話を知らないのか。
確かに思い返してみれば、ちょうど私の学生時代に、緑の筐体をしたプッシュホンの公衆電話が赤やピンクの電話に取って代わって広がっていったような気がします。そして現在はといえば日本人の約半数が携帯電話を所持し、公衆電話も駅前などを残しほとんどが撤去されている状態。しかもそれらはほぼすべてプッシュホンですから、ダイヤル電話に触れる機会がないのも頷けます。
人と地球と女性の肌年齢にやさしい私ですから、もちろんその子どもには丁寧にダイヤル電話の使い方を教えてあげました。こうして少年は大人への階段を一歩一歩登っていくのでしょう。電話機に向かうその背中に、立派な大人になれよと心の中で声をかけました。
……そして自分が歳を取ったことを教えられたひとときでもありました。泣いてもいいですよね。
(2004.03.19)