◆純愛の正体
二十代も半ばを越えますと、いわゆる純粋な恋愛というのはできなくなると思います。
例えば二十五の男性が同年代の女性とお付き合いしようと思う場合、その後ろにどうしても結婚の影がちらつくことになります。結婚を前提としない恋愛というのは、経済的、環境的によほどの条件が両者に揃っていないと難しくなります。また当人たちがそれでよくても、当人たちの親はそうではないという場合がほとんどです。自然、感情よりも個人にまつわる周辺事情の方に重きを置かれるようになり、感情以外の様々な要素を加味した上での「恋愛」ということになりがちです。社会に出た後の純粋恋愛というのは、なかなか難しいものです。
そう考えれば、中学高校、大学や専門学校時代といった、周辺事情を考えなくて済む頃の恋愛こそが、純粋な恋愛といえるかもしれません。
が、学生時代というのは精神的にまだまだ未熟です。顔やスタイル、乳の大小、表層のやさしさなどに意識が偏りがちになります。私はいまだに偏っていますが。
そうしていくつかの失敗を乗り越え、ようやく人間の深みがわかって来た頃には、自分の感情だけでは相手を選択できない社会の中にいる。それが現実です。
大人になって人の深み、面白さがわかってきた今に、学生時代のような純粋な感情だけでの恋愛ができないだろうか。
最近流行のというか昔からずっと様々なメディアで流されてきた「純愛」の正体は、これだと思います。きっとそこに、多くの人の叶えられなかった夢があるのでしょうね。
(2005.03.18)